●ベッセント長官、交渉期限の延長示唆-通知する関税率は確定と限らず
トランプ米大統領が発表した上乗せ関税の一時停止期限が9日に迫り、米国の主要貿易相手国・地域は合意の最終決着や期限延長の交渉を急いでいる。
日本などとの貿易協議を主導するベッセント財務長官は、期限までに合意がまとまらない一部の国について、3週間の交渉期間延長の選択肢が与えられる可能性を示した。
ベッセント長官は6日に二つのテレビ番組に出演した。CNNでは「今後72時間、非常に忙しくなるだろう」と発言。9日の期限までに残された時間に言及した。
その後、トランプ氏による国・地域別の関税措置について、ラトニック商務長官は6日、8月1日に発効すると述べた。貿易相手国・地域に一定の猶予を示唆した形だ。ニュージャージー州での週末を終えてワシントンへ戻るトランプ氏に同行したラトニック氏は、一緒に大統領専用機に搭乗する際に記者団に語った。
●トランプ米大統領、7日正午から関税の書簡送付・貿易ディールの発表
トランプ米大統領は6日、関税に関する書簡や米国が結んだ貿易ディールについて、米東部時間7日正午(日本時間8日午前1時)から送付・発表を予定していると、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。
●債券は下落、与党苦戦との見方で財政拡大懸念-超長期中心に売り
7日の債券相場は下落。参院選で与党の苦戦が伝えられており、財政拡大への懸念や8日の5年国債入札に対する警戒感から売りが先行している。
アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎シニア債券ストラテジストは、参院選について市場が思っていた以上に与党の苦境が報じられており、今後の減税リスクを再評価する必要が出ていると指摘。3日の30年債入札以降の悪い流れに追い打ちをかける形となり「超長期債が大きく売られている」と述べた。
●日本株は下落、米関税政策への警戒強まる-輸出や素材、金融株安い
7日の東京株式相場は下落。トランプ米大統領が7日に各国・地域への関税通知の送付を開始し、通知先の具体的な相手を公表する予定で、対日関税政策への警戒が次第に強まっている。
電機や輸送用機器など輸出関連、非鉄金属や鉄鋼などの素材といった海外景気敏感業種に売りが増加。日本経済の先行き不透明感を受けて銀行や証券など金融株も安い。
個別では、米関税政策の影響により需要の先行きに不透明感が高まったとして業績予想を下方修正した安川電機が大幅安。半面、第1四半期の単独売上高が前年同期を上回ったディスコは堅調。
●1ドル=144円台前半に上昇、交渉期限近づきリスクオフの円買い優勢
7日の東京外国為替市場で円相場は1ドル=144円台前半に上昇。9日に米国の上乗せ関税の一時停止措置が期限を迎えるのを前に、日本に対する高関税適用への警戒感からリスク回避の円買いが優勢になっている。
みなと銀行の苅谷将吾ストラテジストは「株が売られているのに連れて、リスクオフ的な円買いが出ている」と語る。為替市場は「トランプ米大統領の書簡を待っている状態で、日本に対して高関税が課せられるリスクを意識している」と言う。
トランプ大統領は6日、「7月9日までにはほとんどの国と書簡か合意の形で決着がつくだろう」と語った。関税引き上げを警告する書簡は7日から発送され始め、「幾つかは8日に送られるだろう」とも話した。ベッセント財務長官は期限までに合意がまとまらない一部の国について、3週間の交渉期間延長の選択肢が与えられる可能性を示した。
●原油市場、年終盤の供給過剰深まる見通し-OPECプラス増産幅拡大
石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成するOPECプラスが8月分の増産幅拡大を決定したことで、今年終盤に見込まれている原油供給過剰は一段と深まる見通しだ。決定は燃料価格の引き下げを求めていたトランプ米大統領の要望に応えた形となるが、世界の産油国に価格下落圧力がかかりそうだ。
OPECプラスは、少なくとも短期的には供給拡大が市場に吸収されるとみており、決定後にサウジアラビアが代表油種のアジア向け8月価格を引き上げたことはこうした自信の表れと言える。ただ、5日の予想外の決定以前から、世界の原油市場には冬場の供給過剰が迫っているとの見方が出ていた。
UBSグループのアナリスト、ジョバンニ・スタウノボ氏は「現時点では市場は引き続きひっ迫しており、追加供給を吸収できる状態にある」と分析。その上で、「ただ、貿易を巡る緊張が続くなどリスクが高まっており、今後6-12カ月で需給が緩み、価格下落につながる可能性がある」との見方を示した。
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