今日(7/9)のファンダメンタルズ情報

国債流動性が極度に低下、金利急騰リスク-20年入札に火種警戒の声も

日本の国債市場では流動性が著しく低下しており、超長期ゾーンを中心に金利急騰リスクが高まっている。

  ブルームバーグが算出する日本国債流動性指数は4月初旬以降に急上昇し、8日には6.529と、さかのぼることができる2007年以降の最高値(終値ベース)を更新した。同指数は残存期間1年以上の国債の平均イールドエラー(公正価値からのかい離)を表し、上昇するほど国債市場の流動性が悪化したことを示す。

超長期債利回りは、3日の30年債入札が低調だったことを受けて再び上昇基調を強めている。参院選で与党が過半数割れし、消費減税の実現可能性が高まることへの不安感も売り材料になっている。超長期金利の上昇はグローバルに広がり、米国では8日に30年債利回りが5%に接近し6月中旬以来の高水準となった。

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは、特に30年債と40年債の取引が減っており、少しの売りで価格が大きく動きやすくなっていると語る。超長期債の主要投資家である生命保険会社が慎重姿勢を崩していないことに加え、「グローバルに超長期金利が上昇する中で、海外投資家も買いを手控えている可能性がある」と言う。

  BNPパリバ証券の井川雄亮マーケットストラテジストはリポートで、昨年度の外国人の超長期債の月間買い越し額はおおむね3000億円程度だったが、 今年度は4-5月の2カ月でほぼ1年分の買い越しになっていると指摘。今後外国人の買いが続かないと供給過多による金利上昇圧力が一段と強まるとみる。

【日本市況】円が一時147円台、利上げ後ずれ観測で売り継続-株続伸

9日の日本市場で円相場は一時1ドル=147円台前半に下落し、約2週間ぶり安値を更新した。日米関税交渉の難航で日本銀行の利上げが遅れるとの見方から円売りが続いた。株式は円安進行を受けて続伸、債券は中長期債が下落した。

  トランプ米大統領は8日、上乗せ関税の8月1日の発動に追加の猶予を設けないと明言した。また、セクター別関税の一環として銅や医薬品に新たに高関税を課す方針を表明した。

  スワップ市場が織り込む日銀の年内利上げ確率は5割程度で、今月初めの6割程度から低下している。  

  関西みらい銀行の石田武ストラテジストは、上乗せ関税の発動が8月に延期され、7月の日銀金融政策決定会合が無風となりそうなことが円売りにつながっていると指摘。日米関税交渉で合意なく期限を迎えれば、10月がメインシナリオの利上げは後ずれし、「円買いポジションの巻き戻しを伴ってドルは150円を回復もあり得る」とみている。

英国債の金利負担、4.3兆円急増も-年金の運用構造変化で購入が減少

英国では年金基金による国債購入減少の影響で、公的債務の金利負担が220億ポンド(約4兆3800億円)急増し、持続可能な財政見通しが脅かされる恐れがある。

  予算責任局(OBR)は8日公表した財政リスクと持続可能性に関する報告書で、高齢化で医療・年金支出が増大し、気候変動および地政学的リスクも高まっており、公的債務負担が急増する危険があると警告した。

  年金基金は国債の需要を支える重要な買い手だったが、確定給付型年金から確定拠出型年金への移行に伴い、長期国債を保有し、長期運用する必要性が薄れたことも、大きな脅威だ。英国債の借り入れコストを押し上げ、外国人投資家への依存度が高まる可能性が高いとOBRは分析した。


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