●関税措置で利下げ遅れる可能性、見通し不透明─米シカゴ連銀総裁=報道
[11日 ロイター] – 米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は、トランプ米大統領が発表した新たな関税措置でインフレ見通しが一段と不透明になったと述べた。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が11日、報じた。
トランプ氏は今週、 カナダに35%、 ブラジルに50%の関税を課すと表明。 グールズビー氏はWSJ紙のインタビューで、こうした新たな関税措置は インフレを巡る新たな懸念につながると指摘。米連邦準備理事会(FRB)は状況を明確に把握するまで様子見姿勢を維持せざるを得なくなるとし、関税措置を巡る新たな脅威で利下げが遅れる可能性があるとの認識を示した。
トランプ大統領はこれまでも繰り返しFRBに利下げを要求し、利下げに踏み切らないパウエルFRB。グールズビー氏は、FRBは政治的な圧力にもかかわらず、金利決定において独立性を維持すると確信していると語った。
グールズビー総裁はまた、ポッドキャスト「ムーディーズ・トークス・インサイド・エコノミクス」で、トランプ大統領が新たな関税率を発表していることで、経済状況の解釈で混乱が見られていると指摘。企業関係者から、経済指標にまだ明確に表れていないインフレに対する不安を多く聞いているとし、経済のソフトランディング(軟着陸)への軌道に戻ったと確信できるまで、混乱と不安が収まるのを待つ必要があると語った。
●トランプ大統領、EU・メキシコに30%関税通告-書簡で再び揺さぶり
トランプ大統領は、メキシコと欧州連合(EU)に対し30%の関税を課すと表明した。自身の貿易アジェンダで同盟国を翻弄(ほんろう)し、世界の金融市場に不確実性をもたらし続けている。
トランプ氏は12日、新たな税率を通告する2通の書簡をソーシャルメディア上で公開。交渉で条件が改善されなければ8月1日から適用すると伝えた。
トランプ氏は今週、各国に書簡を送り、4月に提案していた関税水準を微調整しつつ、さらなる交渉を呼びかけていた。
EUは関税回避のため米国と暫定合意することを期待していたが、今回の書簡は、主要貿易相手国・地域との土壇場の合意に向けた楽観に水を差した。
ただ、大統領は「これまで閉ざしてきた貿易市場を米国に開放し、関税および非関税の政策・貿易障壁を撤廃する意向があるのであれば、われわれはおそらく、この書簡への調整を検討することになるだろう」とも述べ、追加の調整余地を残した。
トランプ大統領は4月初めの「解放の日」イベントで貿易相手国・地域に対する関税を発表した際、EUに対しては20%の関税を課すとしたが、その後、交渉のための90日間の猶予期間を設け、この期間中は一律10%の基本税率にとどめている。
しかしEUとの交渉が進まないことにいら立ったトランプ氏は5月23日、EUに50%関税を課すと警告した。
欧州委員会のフォンデアライエン委員長が6日にトランプ大統領と協議したことを受け、欧州委は今週に入り、貿易合意の枠組みがまとまりつつあるとの見方も示していた。
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