●【米国市況】S&P500は反落、30年債利回り5%台-ドル一時149円台
15日の米株式市場ではS&P500種株価指数が反落。米消費者物価指数(CPI)が比較的穏やかな内容となり、当初は買いが先行、S&P500種は節目の6300を上回る場面もあった。しかし、CPIは関税の影響に対する懸念を弱めるには至らず、下げに転じた。
一方、ハイテク株は堅調。半導体大手のエヌビディアとアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は、人工知能(AI)向け半導体の一部について対中輸出を再開する方針だ。
●インドネシア、米関税合意は「大きな成果」-トランプ氏19%表明
トランプ米大統領は15日、関税を巡りインドネシアと合意に達したと明らかにした。インドネシアからの輸入品には19%の関税を適用する一方、米国からの輸出品には関税はかからないと述べた。これを受け、インドネシア当局者は労働集約型産業にとって「大きな成果」との見解を示した。
トランプ氏は「われわれはインドネシア市場への全面的なアクセスを得ることになる」とホワイトハウスで記者団に発言。「インドネシアは19%を支払い、われわれは何も支払わない」と述べた。
インドネシアのプラボウォ大統領は16日、記者団に対し、トランプ氏との直接協議を経てこの合意に達したと語る一方で、インドネシアはより良好な貿易関係を求め、交渉を続ける方針だと述べた。
トランプ氏は先週から、主要貿易相手国・地域に対して書簡で新たな関税を通告しており、インドネシアに対しては8月1日から32%の関税を課すと述べていた。インドネシアと協定が正式に成立すれば、トランプ氏が先週から送付した書簡で標的にした国の中で、初めて合意に至ったケースとなる。新たな関税率19%は、トランプ氏の通告からは大幅に引き下げられ、地域内ではシンガポールの10%に次いで2番目に低い水準となる。
インドネシアはまた、米国から150億ドル(約2兆2300億円)相当のエネルギー、45億ドル規模の農産品、さらに777型機を中心にボーイングの航空機50機を購入することで合意したと、トランプ氏はソーシャルメディアに投稿。ただ、購入の時期や詳細は明らかにされていない。
トランプ氏は「高関税国からの迂回(うかい)輸出があった場合には、その国の関税がインドネシアへの関税に上乗せされる」とも述べた。
インドネシア国家経済評議会のメンバー、ヘリヤント・イラワン氏は同日、米国との関税合意について、衣料品や靴類など労働集約型の産業にとって非常に「大きな成果」だとブルームバーグテレビジョンとのインタビューで述べた。
●ダラス連銀総裁、金利を当面据え置く必要性に言及-インフレ抑制で
米ダラス連銀のローガン総裁は15日、物価上昇を十分に抑制するためには、金利を当面、据え置く必要があるとの認識を示した。ただ、インフレ鈍化や労働市場の軟化があれば、利下げが必要になることもあり得るとした。
ローガン総裁はサンアントニオのイベントでの講演テキストで、「これらを踏まえると、インフレ率を持続的に目標に戻すためには、もっと長く金融政策を引き締め気味に維持しなければならないというのが基本シナリオになる。その場合、やや景気抑制的な政策であっても、最大限の雇用を維持できる」と語った。

3年前の就任以降、インフレに関して慎重姿勢を取ってきた同総裁だが、想定より早い時期に利下げを余儀なくされるシナリオにも言及した。
「軟調な物価上昇と労働市場の悪化が重なった場合、かなり早期に利下げが必要になる可能性もある」と話した。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は今年これまで金利を据え置き、関税が物価に与える影響を見極める「様子見」姿勢を取っている。だが、今後の金融政策については当局者の間で意見が分かれている。
15日に発表された6月の米消費者物価指数(CPI)では、食品とエネルギーを除くコア指数が5カ月連続で市場予想を下回った。一方で、企業が関税に伴うコストの一部を消費者に転嫁する動きが強まっていることも統計からうかがえた。
ローガン総裁はCPI統計について、連邦準備制度が重視する物価指標が6月に加速する見通しを示唆しているとし、短期間の良好なインフレ指標を過度に重視すべきではないとの慎重な姿勢を示した。
「期待が高まった後に、インフレ再燃で失望感が広がったことがこれまでにあった」とし、「低いインフレ率が確実に持続するか見守りたい」と述べた。
●米PPI横ばい、サービスが下押し-製造業は価格転嫁に慎重姿勢
米生産者物価指数(PPI)は6月、前月比で横ばい。旅行関連のサービス価格が大幅低下し、財価格上昇の影響を相殺した。
食品とエネルギー、貿易を除いたPPIコア指数も前月比横ばい。前年同月比では2.5%上昇と、2023年遅く以来の小幅な伸びとなった。
前日発表された6月の米消費者物価指数(CPI)では、関税が家具や家電、玩具などさまざまな分野に波及し始めていることが示された。今年これまでのところインフレは穏やかに推移しているが、貿易コスト上昇の相殺に動く企業が増えるにつれてインフレ圧力は徐々に強まると、多くのエコノミストは予想している。
今回のPPIは、米国による関税引き上げ分を顧客にどの程度転嫁できるかについて、製造業者が今のところ慎重姿勢を取っていることを示唆している。データによれば、5月に急上昇した卸売業者と小売業者の利益率は、6月には横ばいとなった。
食品とエネルギーを除いた財の価格は0.3%上昇した。エネルギー価格は上昇。発電用の天然ガス価格は3年ぶりの大幅な伸びとなった。
一方でサービス価格は0.1%低下。米労働統計局によれば、この低下分の半分以上は、旅行者向け宿泊サービスでの4.1%低下が影響した。航空旅客サービスは2.7%低下し、24年5月以来の大幅な下げとなった。
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